カラス
岡田冨美子
恋し恋しと羽根を噛み
夜明けの晩に啼くカラス
わたしゃ素肌に
赤襦袢(あかじゅばん)
ふとんをかぶって枕抱く
逃げるあんたは夢ん中
両手を延ばしてまぼろし掴む
ここじゃ男は盆暮れに
御神酒(おみき)飲みほし
女を替える
つらい想いに身を焼いて
あんたの空を飛ぶカラス
冷えた背中を丸めても
過ぎたぬくもり戻りゃせぬ
今夜あんたは誰の家(うち)
憎さがあまれば欲しさに変わる
あの日むつんでそれっきり
女所帯にゃ酔う酒もない
逃げるあんたは夢ん中
両手を延ばしてまぼろし掴む
ここじゃ男は盆暮れに
御神酒飲みほし女を替える