12階のこいびと
Yumi Matsutoya
Mon amour
夜の波を泳ぎつかれた魚のように
そっと横たわれば 汽車の響きがきこえるわ
Bon soir
眠い街はぼんやり光る海の底なの
ここは12階 通りを見下ろす
軽い寝息が ひとりぼっちにさせる
こんど逢う日を決めもしないうちに
Je t'aimerai
ゆるくしめた 蛇口の水の滴のように
いつも不安だけが 重たくなってはこぼれる
Mon amour
うでをはずし 涙くすぐる耳をこすると
背中見てるけはい けれど気のせい
軽い寝息が ひとりぼっちにさせる
こんど逢う日を決めもしないうちに
Mon amour
もしあなたが目の前から消えてしまったら
ここは12階 窓を開けて舗道をめがけ
紙のように舞うわ