今宵もかろうじて歌い切る
Takehara Pistol
街の明かりの外の外
鉛色の空に痩せた月
今更それが何になろうか
過ちを数え 罪を数え
拗れに拗れた感傷が
あからさまなトドメを待っている
今宵もかろうじて歌い切る
かろうじて今宵を歌い切る
眉間にうろつく淡い風
露を湛えた青い花
届くことなく潰えた祈り
手を振り合えずじまいの別れ
あいつが逝ったとの報せを
いまだ鼓膜の内側に飼っている
今宵もかろうじて歌い切る
かろうじて今宵を歌い切る
棄てるのはいつだってこちらの方
"道" は人を棄てたりしない
浅い眠りから這い出て
歪んだ背骨にまた荷を担ぐ
細り萎び錆びゆく生業を
されど
燃やして燃やして燃やして
今宵もかろうじて歌い切る
かろうじて今宵を歌い切る
今宵もかろうじて歌い切る