僕らは夏を待っていた。
天月, 渡辺拓也
あ、夏が来る匂いがする
もう何度目の季節だろう
風はやがて僕を連れて
君といた街に還る
あれからどれだけの時が過ぎた?
今年も花火は上がるみたいだ
本当は蒸し暑くて嫌だったけど
君の横顔が綺麗過ぎて
遠くで夏が鳴いた
想いは宙(そら)を飛び越えた
ちょっと思い出すね
あの日の僕ら
恋してた梅雨明け
「はぐれないで」と繋ぐ手と手
君の声とラムネの味
いつもどおりの君との日常
夜空を塗りつぶした赤 青 黄色
「好きだよ」って溢れた一言が
君の瞳に向けられない
遠くで夏が鳴いた
願いは星と溶け合った
君の頬が 赤く染まった
暑さのせいですか?
跳ね上がった水溜まりと
輝いた色とりどり
風に揺れた 後ろ姿に
「恋」していた
僕ら(ふたり)は夏を待っていた。
永遠(とわ)に咲いた恋花火
遠くで夏が鳴いた
想いは宙(そら)を飛び越えた
ちょっと思い出すね あの日の僕ら
恋してた梅雨明け
はじまりの夏の日