狂った果実
Shinji Tanimura, Takao Horiuchi
ひとしきり肩濡らした冬の雨
泥をはねて行き過ぎる車
追いかけて喧嘩でもしてみたら
少しぐらい心もまぎれる
狂った果実には 青空は似合わない
家を出たあの時の母のふるえる声は
今でも耳に響いてる 低く高く
ポケットで折れていたハイライト
おかしくて吸う気にもなれず
かじりかけの林檎をただ思い切り
投げつける都会の闇に
許してくれなんて言えない
今の俺には
ナイフすてたこの手で
回すダイヤルの音
せめてもう一度 刻みたい声がある
生まれてきたことを
悔んでないけれど
幸福に暮らすには
時代は冷たすぎた
中途半端でなけりゃ
生きられない それが今
狂った果実にも見る夢はあるけれど
どうせ絵空事なら
いっそ黙ってしまおう
せめてこの胸が裂けるまで
Silence is Truth!