ヒゲとボイン
Tamio Okuda
僕のデスクのとなりの 痩せてるくせにボインは
花見の時にキスして それから何もない
そんな彼女の口ぐせは 「あなたはいつも仕事でしょ」
社長は若いくせして ヒゲなんかはやしちゃって
「君を見てると昔の僕を見るようだ
女にうつつを抜かすと 私のようになれないよ」
考えてるさ とぼけてはいるけれど
ああ男にはつらくて長い二つの道が
ああ永遠の深いテーマさ ヒゲとボインが手招きする
社長は社長のくせに 仕事もしないで遊ぶ
いやな予感は適中 狙いは彼女
僕も連れてけといったら 「あなたはどうせ仕事でしょ」
アメリカ帰りで独身 なんだそのえらそうなヒゲ
僕の見てる目の前で ボインに手を出した
何かがおかしい何かが あなたのようになりたいが
会社とはなんだ人生とは何だ
ああ僕は今世界一の悩める人さ
ああ男にはつらくて長い二つの道が
ああ永遠に僕を迷わす ヒゲとボインが 夜空に浮かぶ