Troubadour
奏で歌わん 甲冑の下
鼓動は恋の獄
この世に浮かぶ嘘や汚れを
織りなす言葉に埋め
ただ美しい日々だけを
語りつづけ
捧げたいのです
青剣輝る切っ先へ
腕から注がれる力こそ
血潮を巡りながら
生まれくる歌
声をあげて響かせん
この身体 紅に染まろうと
黄金の宮殿に
あなたがいる限り
馨しい吐息の花よ
風に舞ってわが名を呼ぶ
進み戦え 愛する為に
わたしは月下の騎士
永遠の一夜を手にできるなら
幾千の太陽も殺す
祈り歌わん 兜を脱いで
束ねた髪を解く
鬱金色の土濡らす夜露
今日も涙に代わり
この狂おしい胸だけが
真実を
湛えているのです
古城映す湖に
羽撃ける白鳥の緋の喉よ
広がる波紋のように
詩はさざめく
北へ西へ馬は駆け
この肉体眠る場処持たずとも
蹄の音は空に
昇って星を抱く
墜ちるのは天上の奈落か
目蓋を閉じ あなたを想う
夢を流離う 茨の征野
わたしはトルバドゥール
紡がれてゆく記憶の先で
またひとり生まれ変わっても
奏で歌わん 甲冑の下
鼓動は恋の獄
幾世も満ちる悪や裏切り
織りなす言葉に埋め
いま美しいこの時代を
いつまでも伝えてゆけるなら
進み戦え 愛する為に
わたしは薔薇の戦士
散りゆく最期はどうかあなたの
指へとこの血のひとひらを
祈り歌わん 兜を脱いで
束ねた髪を解く
鬱金色の土濡らす夜露
今日も涙に代わり
この狂おしい胸だけが
真実を
讃えているのです