うそつき

「いい思い出にしたいから
見送らないで」ドアをしめた
追いかけては来なかった
でもあなたは見届けてくれたから
この背中を
涙に気付かれないように
うつむかずに歩くよ
顔をぬぐったりしないよ
あの角を曲がるまでは
はじめて この道を一人で帰るよ
バス停へ行くまでの
ほんの短い道のりも
必ず 送ってくれる人だった
「恋人ができたよ 幸せになるね」
そうメールした
下手な嘘だったかな?
あなたがとても辛そうに見えたから
自分1人だけ 幸せでいることが
嘘が見透かされないように
精一杯の笑顔で
幸せなふりをするよ
あなたの前でもっと
だって、悲しいほど
わかっているから
落ち込む姿見せたら
あなたは励ましてくれる
それが恋人じゃなくっても
嘘が上手になったのは
悲しいことなの?
本当はあなたがいなくて
苦しいんだよって言ってしまいたい

あなたは
どんなに疲れているときでも
辛くて落ち込んだ日も
心配掛けないように
笑顔でいてくれた
その優しさが
今はわたしじゃない誰かに
向けられていたとしても
わたしはあなたのような
人になりたいよ
今そう想う気持ちは
嘘じゃない