花をください
俊之 柴山
貴女の足音が
絶望の海に消えて行く
色褪せた景色と
鉛の夜を残して
空っぽのベッドに
貴女の破片を閉じ込めて
夢をつなぎあわせてる
面影だけの夜
悪戯な幻が
わたしの心をもて遊ぶ
首筋に絡みつく
感触だけの指先
花をください
出来るだけ甘い香りで
部屋がぬくもるように
花をください
わたしの心に春を届ける
小鳥のように
花をください
想い出におぼれ
抜け出せなくなった
わたしの為に
花をください
あまりに愛し過ぎて
涙も出ない
ため息だけの夜に
花をください
出来るだけ赤い
夢に狂って
しまえるような
花をください
すべてを失くして 見えなくなった
わたしの心に
花をください