1994年の雷鳴
あの日は空が光ってた
時折 瞬(まばた)きするように
少し遅れて雷鳴 そばで響いた
校舎の壁に身体を寄せて
僕らは雲行きを案じた
風に混じって 頬に雨粒
「帰れないね」って君が言った
シャツが汗ばんで
息苦しくなる
確かに恋だった
2人の若さは不器用で
見つめ合うことさえできなくて
同じ空気を吸うのが
せいいっぱいだった
胸の奥のその片隅に
気づかれないように隠してた
イタセクスアリスとは片想い
どしゃぶりの雨 なす術もなく
ぬかるむ地面を見ていた
灰色の空 籠る稲妻
君の横顔 照らしていた
何を話せばいい?
無口な轍(わだち)が
心に続いてる
2人の若さは不器用で
見つめ合うことさえできなくて
同じ空気を吸うのが
せいいっぱいだった
僕はそっと耳を塞いで
大人の足音 拒否したんだ
吐き出せない何かにいじけてた
あの日は空が光ってた
時折 瞬(まばた)きするように
少し遅れて雷鳴 そばで響いた
まるで神に指を差されて
見えない愛しさに怯えてた
思い出すのも切ない1994年