声
いつも周りより一歩先
でっかな声 カラオケ キーンとなり
ダンスが上手かった馬鹿でいい奴
顔パンくらったら回っていなす
よそと同じじゃない親父さん
顔も見たくねぇと怒鳴り合う
父子家庭の一人っ子
振り返っと家族よりも一緒
でも段々 疎遠の仲
行ったり来たりの塀の中
女と子供は保護シェルター
俺等もほっぽった どうせ無駄
戻って来りゃまたボロボロで
やっぱどうしょもねぇから同情もねぇ
そんで挙げ句の果てには
あっけなく野垂れ死んだ
クソどうしょもねぇ馬鹿野郎
R.I.P.なんかじゃない
会えたら何から話そう
じゃあなよりまたながいい
この声が この声が
この声が 聞こえるか
あの声が あの声が
あの声が 聞こえたか
いつも景品のジャケットの
親父さんはきっと雨男
喪服でいっそう堅物そう
ぼそっと一言 馬鹿息子
まだ六つの頃の写真や花
もろとも灰になった亡きがら
見送るのも涙せず
軽い骨壺を抱き上げる
帰り掛け 飲んだ酒
親父さんはテキーラで酔っ払って
大馬鹿めと連呼するだけ
目を潤ませ 声を震わせ
千鳥足で独り団地へ
向かった姿はひっそり寂しい
ちらり見えたスマホ ホームにはあの
六つの顔そっくりな孫
クソどうしょもねぇ馬鹿野郎
R.I.P.なんかじゃない
会えたら何から話そう
じゃあなよりまたながいい
この声が この声が
この声が 聞こえるか
あの声が あの声が
あの声が 聞こえたか
今にも来そうな気がすんな
自業自得じゃ始末がつかず
4月20日って一発ギャグか?
会ったら顔パン いなすはずか
杉山だった好きなラッパー
俺はメールも無視なまんま
今更ながら 向き合ったなら
仲間仲間 口ばっかだな
忘れることなんかまずねぇ
渋公で教わったマルメン
いつも一足早い
でも死んだぐらいじゃ人は死なない
アディダス入れたかんおけ
また行きてぇなカラオケ
そう言えば聞こえてたかおめぇ
答辞を読んだでっかな声
クソどうしょもねぇ馬鹿野郎
R.I.P.なんかじゃない
会えたら何から話そう
じゃあなよりまたながいい
この声が この声が
この声が 聞こえるか
あの声が あの声が
あの声が 聞こえたか