それは僕ぢゃないよ
Takashi Matsumoto, Eiichi Otaki
茜いろの朝焼け雲 ひとつ千切れて
ほころんだ空に 夢が紡がれる
ほっぺたの紅を 溶かしながら
きみは眠っている
とても気持ちよさそう
まぶしい光のなかから
のぞきこんでいるのは
それはぼくじゃないよ
それはただの風さ
ぼくはきみの胸のなかに
顔をうずめて
朝の物音に 耳をすましている
うす紫の湯気がゆれる
コーヒーポットに
つぶやき声が かすかにかすかに
きみの髪がゆっくりと 翻ったら
ぼくは林檎のにおいでいっぱいさ
まぶしい光のなかから
のぞきこんでいるのは
それはぼくじゃないよ
それはただの風さ
風あかりできみはお化粧忙しそう
ぼくもついでに欠伸をひとつ