ストックホルムシンドローム
安田貴広
暗い部屋の中で
あの人の言葉が
私の心をずっと切り裂いていた
本当はすぐにでも逃げ出したかったのに
その気持ちには蓋をして誤魔化して
そうやって過ごしてきた私が
今更誰に愛されるのでしょう
どうやって幸せになれるかなんて
なんて贅沢な悩みなのでしょう
一体何を誰に願えばいいの
幸せの意味すら知らないのに
言葉が出ないから
すぐに謝って
いつも怯えて顔色窺って
本当はわかっているの
一番悪いのは
何も自分では決めない私だって
そうやって過ごしてきた私が
今更誰を愛せるというのでしょう
感情に任せて生きていけたら
どんなに楽になれるでしょうか
堰き止めてしまった想いの中
いつか私は溺れてしまうの
どうやって幸せになれるかなんて
なんて贅沢な悩みなのでしょう
せめて私は私を赦して
赦し続けて生きていたいだけ