春の羅針
Ohzora Kimishima
そしてまた繰り返す夜の途中で
仕舞い込んでた時間が
この体温を奪ってゆく
霧の中に星を繋ぐ
あなたを隠す夜を⼿繰り寄せるたび
春は歪みながら回り出す
花の⾹りよ今だけ針を⽌めて
夢なら覚めて
そっと窓越しに空は⽩んでゆくようで
やっと⾒つけた⼩さな
この光も奪ってくよ
街の中に⽴ち竦む
声の渦に掻き消された
聞き返して巻き戻して
霧は晴れた星を連れて
あなたを隠す夜の袖を掴むたび
春は濁りながら振り返る
花の⾹りが冷えて頬を伝う
「さようなら?」
あなたの背中に聞き返す
僕を燃やす夢から覚めて
そしてまた繰り返す夜の途中で